同軸ケーブルには2種類ある!それぞれの違いについて解説

同軸ケーブルというものをご存知でしょうか?一般的に身近な同軸ケーブルでは、主にテレビを視聴するために使用されるケーブルです。ここでは、同軸ケーブルについて詳しく知らない人に向けて、同軸ケーブルの概要から、インピーダンスの知識、50Ωと75Ωの2種類の同軸ケーブルの特徴について解説をしていきます。

同軸ケーブルとは?

同軸ケーブルは、電気通信で使用される被覆電線の一つです。ここでは、同軸ケーブルについての基本的な知識や種類について解説していきます。

同軸ケーブルってどんなケーブル?

同軸ケーブルは、英語名ではCoaxial cableといわれています。なぜ同軸ケーブルという名称がついたのかについてですが、断面が何層も重ねた同心円状になっていることからこのような名前がついています。

使用用途としては、高周波信号を送れるケーブルとなっており、テレビ、放送機器や無線通信機、電気計測器、ネットワーク機器などで、私たちにとって最も身近なのがテレビ用のケーブルでしょう。

同軸ケーブルの構造について見ていくと、円形状になった内部導体を絶縁体で囲っています。また、その周囲を外部導体が囲っており、最も外側にあるのがシースでケーブル全体を覆っています。

同軸ケーブルに使われる原材料についてですが、絶縁体についてはポリエチレンという素材が使われています。外部導体については、編組線とよばれる細い銅線を編み込んだものが使われるケースが多く、中にはアルミニウムなど金属箔が使われるケースもあります。

同軸ケーブルには、特性インピーダンスが50Ωのものと75Ωのものが存在します。詳細は後ほど詳しく解説しますが、50Ωのものは主に無線機などに使われ、75Ωのものはテレビ用として使われています。

テレビを視聴する際に、誤って50Ω用のものを使用しても映像を映し出すことはできないため、購入時にはテレビ用と記載しているものを選ぶようにしましょう。

インピーダンスとは?

先ほどテレビ用の同軸ケーブルには、特性インピーダンスが50Ωのタイプのものと、75Ωのものがあると解説しました。ここでは、インピーダンスや特性インピーダンスについて解説をしていきます。

インピーダンスについて

そもそもインピーダンスがどういったものなのかという点についてですが、交流回路に対する電気抵抗の値のことを指します。

インピーダンスが高くなればなるほど、電気が流れにくくなるといった特徴があり、つまりインピーダンスは交流回路においてどれくらい電流が流れにくいのかを指し示しています。

インピーダンスは、量記号として「Z」が使われますが、単位はΩ(オーム)となります。またインピーダンスは、出力インピーダンスと入力インピーダンスの二つがあります。

インピーダンスはどのようにして計算するのかについてですが、電圧と電流の比で求めることが可能です。

インピーダンスは、交流回路において電圧と電流の比であり、もともとは電気回路学から誕生していますが、圧力・流量の比として一般的に認識されています。

インピーダンスにはさまざまな種類があり、電磁波インピーダンスや音響インピーダンス、光学インピーダンスなどが存在します。

特性インピーダンス

同軸ケーブルでは、50Ωと75Ωの特性インピーダンスのものが存在します。特性インピーダンスとはどういったものなのかについて見ていきましょう。

特性インピーダンスとは、伝送線路に交流信号が伝わったときに発生する電圧・電流の比のことをいいます。

具体例を挙げながら解説をしていきます。

50Ωの特性インピーダンスを持つ同軸ケーブルがあった場合、抵抗値が50Ωということではないのです。インピーダンス自体はゼロに等しいですが、高周波が通過した場合に同軸ケーブルの中にある静電容量およびインダクタンス成分によってインピーダンスが高くなっていきます。

このインピーダンスのことを特性インピーダンスとよんでいます。インピーダンスとしっかりと区別をし、理解しておきましょう。

50Ωと75Ωの同軸ケーブルのそれぞれの特徴

前述した通り、同軸ケーブルには特性インピーダンスが50Ωのものと75Ωのものが存在します。それぞれ、特徴が異なるためしっかりと違いを理解した上で適切なものを選ぶ必要があります。

ここでは、オームの基礎知識や50Ωの同軸ケーブルと75Ωの同軸ケーブルの特徴をつかんでもらうとともに、どちらの同軸ケーブルを使うのがよいのかについて解説をしていきます。

Ω(オーム)の基礎知識

オームとは、電気抵抗の単位であり、回路上を流れる電流に対しての電気抵抗のことを指します。抵抗をオームで測定するシーンでは、自動車用のバッテリーのようなDCや直流電気を扱うものなどがあります。

ただ、2回目にACもしくは交流を回路に送ると、抵抗は測定されずインピーダンスが測定されることになります。一般的には、オームの値が小さければパフォーマンスは高くなるという点は覚えておきましょう。

つまり、同軸ケーブルの50Ωと75Ωでは50Ωのケーブルの方が、パフォーマンスが高く良い結果がでます。

50Ωの同軸ケーブル

インピーダンスが50Ωのものが標準化されたのは、1930年代に遡ります。この時期に無線送信機用として同軸ケーブルが開発されました。

専門家による実験の結果では、最小挿入損失が77Ωで達成されましたが、最も良い電力処理としては30Ωであるということがわかっています。ただ、30Ωのインピーダンスに適している同軸ケーブルを作るためには、適している誘電材料はほぼありません。そのため、50Ωの同軸ケーブルは、パフォーマンスが最大化されたものではなく、電力処理能力および空気誘電体の単位長さあたりの単位損失を考えた場合の妥協点であるということが分かります。

50Ωの同軸ケーブルは、妥協した上で最も良いものであるため、電力処理能力が100ワット以上のような場合では、50Ωのケーブルが使われます。

50Ω同軸ケーブルは、一般的に無線アンテナ給電ケーブルやGPSアンテナ給電ケーブル、携帯電話システムなどが挙げられます。

75Ωの同軸ケーブル

多くのシーンでは、50Ωの同軸ケーブルが推奨されていますが、あらゆるシーンで50Ωが適しているというわけではありません。その理由として、すべての場合において高電力処理が必ず保証されるわけではないからです。

具体的な例を挙げると、ケーブルを可能な限り効率的に通過させて、その通過する過程で信号強度を失わないようにするためには、50Ωの同軸ケーブルではなく、75Ωの同軸ケーブルが適します。

最低容量の同軸ケーブルでは93Ωの同軸ケーブルが存在するものの、そもそも入手しづらく費用は高額になってしまいます。そのため、75Ωのものが最も適し、信号減衰損失が低くなるうえに、静電容量も低くすることが可能なのです。

75Ωの同軸ケーブルは、主にビデオ信号の伝送に使われます。もう一つ使われることの多いものとしては、テレビ信号があります。

DVDプレーヤーやVCRなどのコンポーネント間におけるビデオ信号などに使われています。

どちらの同軸ケーブルを使うのがよいのか

50Ωと75Ωの同軸ケーブルの使い分けかたについてですが、用途によって使い分けをするのが正しいです。

簡単にいうと、50Ωのものは情報を伝送するためのもの、75Ωのものは映像用と捉えておきましょう。

用途によって選ぶ同軸ケーブルが変わるため、どのようなシーンで使うのかを明確にした上で選ぶようにしましょう。

まとめ

ここまで、同軸ケーブルの基礎知識や、インピーダンスについて、また同軸ケーブルの50Ω・75Ωについて詳しく解説をしてきました。同軸ケーブルのそれぞれの特徴は理解できたでしょうか?同軸ケーブルは、用途によって正しいものを使わなければ、機器などが正しく動作しないため、購入する際はよく確認して選ぶようにしましょう。